【クラクフ(ポーランド)、エルサレム時事】ポーランドのクラクフで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は7日、イスラエルが占領するヨルダン川西岸パレスチナ自治区の都市ヘブロンの旧市街を世界遺産に登録した。

 ヘブロンはユダヤ、キリスト、イスラムの3宗教の聖地とされる。国民の大多数がユダヤ教徒であるイスラエルは、ユネスコがヘブロンをイスラム教徒の多いパレスチナの聖地として認定したと受け止め、反発を強めている。

 ユネスコは決定に際し、ヘブロンではユダヤ人入植者らとパレスチナ人の衝突が繰り返されてきたことを踏まえ、旧市街が「危機に直面している」と保護の必要性を訴えた。これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は「非現実的な決定だ。遺跡は危機に陥っていないし、われわれは宗教の自由を守り続ける」と反論した。

 また、国連への拠出金をさらに100万ドル(約1億1400万円)減らし、ヘブロンや近郊でのユダヤ教遺跡のための博物館建設費用などに充てる考えを表明した。

 一方、パレスチナ自治政府は「パレスチナ外交闘争の成功だ」と歓迎。パレスチナ解放機構(PLO)幹部のハナン・アシュラウィ氏も「イスラエルの占領政策がパレスチナの遺産を脅かしていることに国際社会が気付いた」と評価した。